適応障害というのは精神的なものである為、職場によってはなかなか理解されないことや辛さが伝わりづらいことがあります。
また人それぞれ症状やその程度が異なるため、確実に治る方法やすぐに治す方法というものは存在しません。
そして治療には時間と根気が必要です。その為、一人で抱え込むよりも家族の方に寄り添ってあげてほしいと思います。
私の身内が適応障害になりまして、なかなか大変だったのですが今は順調に回復の道を辿っています。だから同じように適応障害になり苦しんでいる方、またその方を支える家族の方に向けて、少しでもお役にたてればと思っています。
もしも周りにそんな方がいなくとも社会に出て働いているのであれば知っていて損はないと思うのでぜひ、最後までお付き合いください。
適応障害とは
適応障害はある特定の状況や出来事によってその人の気分や行動面に症状が現れるものです。
また、周りがその事に気づきにくいだけでなく本人もかなり状態が悪くなるまで気づかないことも多く、例えば足の小指を机にぶつけてしまって「なんで自分ばっかり...!」と年甲斐なく大泣きして初めて適応障害に気づくということもあるそうです。
適応障害になる人は辛さやしんどさを我慢してしまう人が多いのでほんの些細な拍子にそれまで溜め込んできた疲労やストレスがガタガタと崩れて襲いかかってくるのです。
症状は人によって異なるので医師でない人が判断できるものではありません。
大丈夫そうに見えても実際は精神的に限界を迎えていることだってあります。
経験談
私の身内(ここから先「A」とします。)は社会復帰までに丸2年を費やしました。
Aは真面目なタイプではありませんでしたが高校、大学とほとんど休みのない部活動を頑張り、その部活動の推薦で就職を決めました。推薦でも落ちる人は落ちるらしいのでAは頑張ったと思います。
仕事が大変とは言いながらも「上司や仲間もいい人」と聞いており、仕事も順調であると思っておりましたがある時から会社に行くために電車に乗るとめまいを起こしたり吐き気を訴えたりしてそのまま帰ってくるようになりました。家族も心配になり精神科を受診したところ適応障害と診断され、2週間の休みをもらうことになりました。
2週間後職場復帰しましたがまた体調が悪くなり途中で帰ることになり、更に長く休みをもらうことになりました。その間、上司との面談があったり家族と上司との面談もあったのですが面談に行った家族曰く「上司の態度が私たちに対しても高圧的に感じる」とのことでした。
家族が上司の悪口を言いだしたことでようやくAの口からも「上司が怖くて仕事で分からないことがあっても質問することができなかった」という言葉が聞けました。
その後も部署移動や上司から辞めるように仕向けられる等色々ありましたが結局本人が納得して仕事は辞めることとなりました。
この間、家族もAのことが心配で眠れなくなったり、精神的に参っている様子で家の中が暗くなっていることを感じましたしAも家族に対してはかなり刺々しい態度でした。
ただAが家族に対して刺々しいことについては感情を出せているということなので私としては喜ばしいことでした。
仕事を辞めた後は後に紹介しているセンターに通い徐々に社会復帰に向けて動き出しました。こちらに通いだしてから自分と同じ悩みを持つ色んな人と関わることでゆっくりではありましたがやっとA自ら働こうという気持ちになり、興味がある分野のアルバイトをし始めました。
母親は正社員として働いてほしいという気持ちが強かったようですが本人の‟まずはアルバイトから始めて自信を取り戻していきたい”という意思を尊重しております。
現在は大変とは言いながらもアルバイト先の仲間が皆優しいようで楽しそうに働いております。
適応障害になったら頼るべきもの
クリエイティブに触れよ
外に出るのも辛いし、家にいると色々と考えてしまってどんよりする...。そんな時には何でもいいのでクリエイティブなものに触れましょう。本、映画、漫画、音楽、詩、絵など何でもいいです。
自分の体験からいうと私はある時期まで「途中で諦めたり、逃げ出したりすることはいけないことだ」と思っていました。しかし、ある本を読み「途中で諦めたり逃げ出してもその先には無数に道があり、それらを選択して歩んでいくことこそが人生なのだ」と気が付きました。だから、無理にそこにとどまろうとすることを辞め、新しい道を進むことができました。
また、友人の話になりますが彼はある歌手のライブに行き「お前の人生の主人公はお前だ」と言われ、ハッとなったそうです。
私の体験も友人の体験もどちらも当たり前のことに気づいただけなのですが、自分が暗い道を歩んでいるとなかなかそのことを知っていたとしても気づけないものなんです。
さらにこれは身内が言ってもあまり効果がありません。
視野が狭まっている時は周りの声を拾いにくいのです。
自分の意思で見つけた言葉だからこそ意味があり、心に届くのです。
精神科のセカンドオピニオン
私には友人にも適応障害を経験した方がいるのですが、その方は2回目にあたった精神科で定期的に通い、薬も処方してもらい回復に向かっていったとのことでした。
適応障害は心のことですから精神科医によってもその治療法や判断は違ってきます。
適応障害は他の疾病よりも医師によるところが大きいですし、自分と医師との相性の問題もありますから定期的に病院に通うようにしてもなかなか回復に向かわないという場合はセカンドオピニオンとして別の精神科医にあたってみてもいいかもしれません。
地域障がい者職業センター
センターの取り組み
- 障害者一人ひとりのニーズに応じてさまざまな職業リハビリテーションを実施する
- 事業主に対しても雇用管理上の課題分析や、専門的な助言支援を行う
- 地域の関連機関への助言・連携・人材育成
等を行っているところで勤め先の許可と適応障害の診断書があれば通うことができます。(※ただし、1つの事業所から1人だけなど人数制限があるので先に通っている方がいらっしゃれば通うことはできません。)
適応障害になり、会社に行かない期間に生活リズムが崩れると復帰する際にそれ自体にもストレスがあるのに生活リズムを変えないといけないストレスや拘束時間が増えるストレスが重なり、復帰がかなり難しいものになります。
私の友人からの情報になりますが地域障がい者支援センターに通うことによって生活リズムを一定に保つことができ、また同じ境遇の人が周りにいることで自分だけじゃないんだと思えたことが大きかったそうです。また、そこで知り合った友達とは今でも誕生日を祝いあう仲だそうです。
いろんな職業の方が集まるので色んな情報が集まりますし、もしも通える立場にあるなら入って損はないとのことです。カウンセラーの方もいらっしゃるので何かあればすぐに相談に乗ってもらえる環境もそろっているので一度検討してみてはいかがでしょうか?
障害者職業センターの概要
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/pdf/77.pdf
LINEのオープンチャットを利用する
オープンチャットとはLINEの機能のひとつで自分の架空のアカウントを作り、個人情報は守られたままに複数のいろんな方とやり取りができる機能です。
調べると多くのグループができており、適応障害に悩む方が集まるグループや学校や会社に行くことが辛い方が集まるグループなどもありました。
匿名であるからこそ吐露できることや同じ境遇の方が集まるからこそ励ましあえることもあると思うので一度どんなグループがあるのかだけでも覗いてみてはいかがでしょうか?
家族にできることは?
口出しをせず、焦らせず、温かく見守っていてあげてください。話も聞きだそうとせずに本人が話し出したらその話をしっかり聞いてあげるようにしましょう。
時間が経過するにつれこのことがとても難しいことと感じると思います。
時間が経過していくにつれ社会復帰できるのか、このままで大丈夫か等、家族であるこそ心配が募っていくものです。
ただ、私は家族の立場でいてわかりましたが家族にできることはほとんど何もないので、ただそばでいつも通りにいることが大切です。
適応障害によって心が沈んでしまっているなら無口になったり家族の方に対してとげとげしい態度になったりすることもあると思いますし、そうなると家族の方も辛いとは思いますが家族に対しては感情を出せている、ありのままでいられている証拠なのでいつもどおりに接しましょう。
また、家族であっても『他人事』と捉えて考えすぎずに自分自身がしんどくならないようすることが大切です。
最後に一番大切なこと
回復を焦る気持ちはあると思います。
しかし、今まできっと身体や心を酷使してきたからこそ適応障害になったのだと思います。だから充電が満タンになるまでまずはしっかりと休養をとることが大事です。
一日中ベッドで過ごしても構いません!今はダラダラ、ゴロゴロが必要なとき。
そうやって過ごしているうちに「動きたい!」という気持ちになるはずです。そう思った時が充電完了の合図です。だからそれまでは焦らずにその気持ちが出てくるのを待ってあげてください。