なんで生きているんだろう。
この問いを自分に投げかけるのは、もう何度目だろうか。
同じような日々をぐるぐると巡りながら、
いつもこの場所でつまずく。
いつからだろう。
こんなふうに足を取られるようになったのは。
社会人になって、二度の転職を経て、
そのたびに自分の価値を見つめ直した。
けれど見つめた先にあるのは、
「何者でもない自分」だった。
何も成し遂げていない、ただの僕。
朝、回収時間に間に合わなかったごみ袋を両手に下げて、見上げた空がやけに青かった。
その青さに、またつまずく。
——僕は、なんで生きているんだろう。
旅行に行った話、結婚した話、子どもが生まれた話、政治の話。
SNSでの流行りやファッション。
どれにも心が動かない。
適応障害の診断書をもらって、僕は普通じゃないのかもなんて思って、
HSPという言葉を知って、そういう人たちの交流会があると知って。
連絡したけれど、返事は返ってこなかった。
置いてけぼりの僕は、玄関の前で裏返った虫を見つけた。必死に足をジタバタさせている。
木の枝を差し出すと、虫はその枝をつかんで、
くるりと身体を回転させて歩いていった。
その背中を見送っていると、
隣の家から朝ごはんのいい匂い。
お腹が減った。
僕はずっと生きている。
なんで生きているんだろうと問いながら。
小さな日常に、そっと抱きしめられながら。
